いせ ひでこ 作・絵 / 講談社
あるパリの朝。ソフィーが大事にしていた植物図鑑がバラバラになってしまいます。ソフィーは街で、どこにいけば本をなおしてもらえるか訪ね歩きます。すると、ひとりの絵描きの老人はこう言います。
「ルリユールのところにいってごらん」
ソフィーは「ほんのおいしゃさんのこと?」と疑問に思いながら、ルリユールと書かれた看板をようやくみつけるのです。
...
ルリユールとは手作業で製本・装幀を専門とするフランス文化特有の職人のこと。フランスではルイ14世の敷いた政令により長く「印刷」「製本」「出版」をひとつの会社でやってはいけないことになっていました。そのために「製本・装幀」に特化した職業なのです。
今ではIT化によりルリユールの数がフランスでも少なくなってしまったそうなのですが、自分の頭と手が直結するルリユールの仕事に憧れます。
余白があることでどこまでも絵が続いていく構図になっていて、どの角度から読んでも憧れる絵本です。ずっと棚に差しておきたい一冊。
いせひでこさんの絵がまたほんとうに素敵なので本が好きな人、本を大事になおしていきたい人におすすめです。