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戸森しるこ 作 ・ 吉田尚令 絵 / 理論社
すべてがしかくでできている、おだやかで、しずかで、へいわなまちに住む通称・かくさん。顔にはしかくい目と鼻がついていますが口はありません。このしかくいまちには文字がなく、そこに住むしかくい人々には感情もありません。
そんなまちのはずれの川に見たことのない男の子が流れてきます。かくさんとはちがう顔の形、肌の色。その子はかくさんによって川から助けられます。男の子は自分にはない口からなにかを発しますが、かくさんには理解できません。その子は名前も失い、帰るところもない様子。かくさんはいえにつれていき、そして二人の短い共同生活がはじまるのでした。
見た目も考え方も、そして食事の仕方もぜんぜん違う二人。その二人の間に芽生えはじめる初めてのあたたかな感情に、口のないしかくいかくさんの体も小さな変化をきたしていくのです。
もたないはずの感情にだんだん戸惑うかくさんと、自分の帰る場所と名前が見つからず悲しみに暮れる男の子。読了後にはきっと、まるくてあたたかな感情がまっているはずです。
サイズ: 210×185mm
ページ; 41p