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イッサ・ワタナベ 作 柴田元幸 詩訳 / 世界文化社
壊れた陶磁器を、継ぎ目がわざと目立つように金とにかわで修復する日本の技術・金継ぎ。金継ぎされたものは、以前の姿とはどこか違い、新たな生命を持ち始めます。その独特な金継ぎの世界観を絵の語りのみで静かに表現した絵本です。
喪失は突如やってきて、再生の過程は常に苦しく、果てに行き着く場所がある。読む側の今いる立場によっても湧き上がる感情は違うかもしれません。
ページを開き直すたびに言葉にならない感情を感じますし、繰り返し読んだとしても常に新しい気づきが待っています。
こんなにもサイレント絵本であることがふさわしい絵本を見たことがありません。
そして最後に唯一刻まれたエミリー・ディキンソンの一詩も、この本を一歩確かな足取りにしているように感じます。
50年先も100年先も、本棚にずっとさしておきたい1冊です。
size:230×230×9mm
ページ:48p