



尾形亀之助 著 松本竣介 絵 / 夏葉社
1900年に生まれ、1942年に逝去した詩人・尾形亀之助。
本著では全詩作から55編が精選されています。
尾形亀之助の詩は、読むたびにうまく掴めなくて、掴もうとすればするほどするりとかわされてしまうような感覚があります。どう表現したら良いのか考えあぐねていると、この本の巻末エッセイにある能町みね子氏の文章が見事に尾形亀之助の詩を捉えているのでぜひ読んでほしいです。
そしてたゆたうように一遍の詩を読み、そして本を閉じ、またいつか本を開いて読む、そういう楽しみ方が似合う詩集です。
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「幼年」
夜あけに床の中でハモニカを吹きだした
子よ
可哀そうにそんなに夜がながかったか
ブーブー ハモニカを吹くがよい
お前のお菓子のような一日がもうそこまで来ているのだ
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判型:四六判上製変形
ページ:176ページ
装丁;櫻井久
巻末エッセイ: 能町みね子