




島田潤一郎 著 / 筑摩書房
吉祥寺にあるひとり出版社・夏葉社の代表である島田潤一郎さんのエッセイ。もともとは2014年に晶文社から出版された単行本でしたが、加筆修正の上、2022年に文庫化されました。
そもそもなぜ出版社を立ち上げることになったのか、その大切な経緯が切実な思いと記憶と共に記されています。
従兄が事故死したことからはじまる島田さんの実話。
生きにくい世界の中で、暗中模索する日々。
叔父叔母のために一編の詩を本にしようとしたところから始まる出版社の構想。
出版社を立ち上げるといっても、何をどうしたら良いのか手探りの姿は、業界は違えどご自分を重ねて見てしまう方も少なくないかも知れません。
この本を読むと、夏葉社がどうしてあの本を作ったのかという理由が明確になり、あらゆる書籍が「だれかの血肉で出来ているんだ」という実感を持てます。
解説:頭木弘樹
判型:文庫判
ページ:336p