内田麟太郎 詩 うえだまこと 絵 / アリス館
『ひばりに』が刊行されたのは東日本大震災から10年経った2021年。
被災した子どもたちは傷が癒えぬままそれでも時間を重ねて大人になって生きています。小さな子どもたちとって震災は語りつがれて聞くものになり、少し現実感のない出来事になっているかもしれません。
絵本『ひばりに』を開くと、その頃子どもだった人たちの、言葉にならない思いを感じます。そして彼らへ手をどう差し伸べたら良いのか、という人々の思いも。
当時の内田麟太郎さんの静かに揺れる心の内に思いを馳せることで、災害や事件のあと必ず通る「時」を思い出させてくれます。どんな喪失にも寄り添う絵本です。
内田麟太郎さんの言葉に絵を添えたのは豊かな色彩で優しく美しい絵を描く画家・植田真さんです。静かに眺めて、ゆっくりと流れる時間を感じてみてください。
自分で読むなら・読んでもらうなら5歳くらいから