new
西尾勝彦 著 / 七月堂
奈良に棲む詩人・西尾勝彦さんの「場末にて」は2019年、小さな大阪の本屋さんのことを思って紡がれた詩でした。
以前、この「場末にて」の詩が書かれた紙を七月堂さんで購入したことがあります。詩と現実の近さに(自分のことかもしれない、でも自分のことではないかもしれない)と何度も詩を反芻し、勝手に涙ぐんだり勇気づけられたりしたものです。
その作品を冠として一冊に編まれた詩集『場末にて』。
「すべてのアウトサイダーへ贈る」という言葉通り、世の中にうまく馴染めない人、どうしても同じ場所にたどり着いてしまう人、いつも端っこで影を潜めて笑顔でいる人に、「ちゃんとそこにいるのを知っているよ」とエールを贈る気持ちで読んでほしいと思っています。この優しき詩が届きますように。
----------------
反概念論
年々
概念は
増えていくばかりだ
そして
それらの概念を
わたしは
受けとめすぎている
しかも
その
すべてが思い込みで
かつ
わたしは
わたしですらないのに
----------------
size:175mmx110mm
仕様; 小口折り 帯付き
ページ: 132
装画:小川万莉子
装幀・組版:川島雄太郎
発売日:2023/10